単純性股関節炎

比較的頻度が高く、小児股関節痛・跛行の原因としては最もよくみられる疾患である。発症年齢は3~10歳(平均5~7歳)に多く、2~4:1で男児に好発する。通常片側に発症し、感冒の後に生じることもある。

疾患の概念
①発生機序
何らかのウィルス感染を原因とする考えもあるが、正確な機序に関しては不明である。
②病態変化
本疾患の病態は一過性の滑膜炎であり、関節内に水腫をきたすため関節内圧が上昇して疼痛をきたす。安静によって水腫が消退していくと関節内圧の減少とともに疼痛および関節可動域が改善する。

診断と治療
①症状
急に生じる歩行障害、跛行が主な症状で、疼痛の部位は股関節というより訴えは大腿部~膝痛であることが多い。患肢は屈曲・外転・外旋位をとることが多く、逆に関節内圧が上昇する肢位である、屈曲内転や内旋の可動域制限が明瞭で、この肢位により疼痛が増悪する。通常発熱はなく全身状態は良好で、一般に患者の表情に重篤感はない。
②診断(検査含む)
超音波断層像により水腫を認め (図1)、片側の股関節痛であり、かつ単純X線像にてペルテス病などの他の疾患が否定的であれば、本症である確率が高い。一方、診断に迷う時はMRI検査を行い、鑑別を進める。特に発熱を伴って、疼痛が強い場合は化膿性関節炎との鑑別が問題になる。その際には血液検査を行い、疑わしい時には積極的に関節穿刺を行って関節液を採取し、診断を明確化する。また、多関節炎などの全身性の症状を併発するようであれば、若年性特発性関節炎(JIA)などの可能性を考慮して精査する。



③治療
安静のみで治癒することが多い。疼痛が著明である場合や、安静の維持が難しく症状が遷延する、もしくは短期間に再燃する症例では入院により牽引治療を行うことがある。なお、疼痛が無くなっても早期に運動させると症状の再燃をきたすことがあるため、1,2週間は激しい運動をさせないようにする。また、初回治療後に跛行が遷延する場合には必ず再度受診をさせるように説明しておき、ペルテス病との鑑別を怠らないようにする。